品川区の高齢者相談窓口が大きく変わります 〜「在宅介護支援センター」から「地域包括支援センター」へ〜

品川区にお住まいで、高齢のご家族の介護や見守りについて、これまで「在宅介護支援センター」(在介)に相談されたことがある方も多いと思います。

この「在宅介護支援センター」が、今後数年かけて「地域包括支援センター」(地域包括)へと姿を変えていくことになりました。5月11日の厚生委員会で、区から正式に方針が報告されました。

少し堅い話になりますが、皆さんやご家族の暮らしに直結する大事な変更ですので、現時点で分かっていることを整理してお伝えします。

💡 そもそも今の品川区はどうなっているのか

実は品川区は、23区の中でかなり独特の仕組みを取ってきました。

2006年に介護保険法が改正され、全国の自治体は「地域包括支援センター」を地域ごとに設置するようになりました。ところが品川区は、地域には包括を置かず、区役所の高齢者福祉課に1か所だけ「基幹型」の包括を置き、地域に20か所ある「在宅介護支援センター」を支所(サブセンター)として運用してきたのです。

メリットは大きく2つありました。

  • 区が高齢者の情報を一元的に把握できる
  • 困難な事例は区が直接バックアップに入れる

実際、職員さんからすれば「品川区方式は非常にいいシステム」という評価もあったと、議事録の中でも区の担当課長が語っています。

🔥 では、なぜ今変えるのか

理由は大きく3つあります。

①「高齢者だけの問題」では済まなくなってきた 8050問題(80代の親と50代の引きこもり子)、ヤングケアラー、ダブルケア、単身高齢者の身元保証問題など、家族まるごと・世帯まるごとの課題を抱えるケースが急増しています。「介護だけ」「高齢者だけ」では対応しきれません。

② ケアプラン作成に追われて、地域に出ていけない 今の在宅介護支援センターは、品川区内のケアプランの約7割を抱えています(他区は民間事業所が担う割合がもっと多い)。職員さんからは「プラン作成に追われて、本来やるべき地域づくりや見守り、ネットワーク構築に手が回らない」という悲鳴のような声が上がっていました。

③ 専門職が「専門性を発揮できる」体制が必要 社会福祉士・保健師・主任ケアマネジャーという3職種を各地域にきちんと配置し、それぞれの専門性を活かせる体制にしていく必要がある、ということです。

🗺️ どう変わるのか

ざっくり整理すると、こうなります。

現在将来
設置数在介20か所 + 基幹型1か所地域包括13か所 + 基幹型1か所(当面)
区域在介と地域センター・支え愛ほっとステーションがズレている日常生活圏域(13地区)と1対1で対応
運営区直営の「サブセンター」委託型の地域包括
役割相談+ケアプラン作成+地域支援を全部相談・地域づくりに専念(ケアプランは民間事業所へ)

13か所の地域包括 ⇔ 13か所の支え愛・ほっとステーションが一対一でペアを組み、それぞれの地域で完結する支援体制を目指す、ということです。

スケジュールは次のとおり。

  • 令和8年度(今年度):準備期間
  • 令和9年度〜(第10期):モデル実施(まずは1〜2か所からスタート)
  • 令和12年度〜(第11期):本格実施(13か所全てではなく段階的に)

つまり、完全移行までには10年近くかかる長い話です。

⚠️ 私が懸念していること(現時点の課題)

委員会で私から指摘した点も含めて、いくつか心配な点があります。

1. 居宅介護支援事業所(ケアマネ事業所)が圧倒的に足りない 品川区の民間ケアマネ事業所は、在介を抜くとたった23か所。他区を見ると、世田谷区207か所、目黒区82か所、新宿区73か所と桁が違います。今後、地域包括がケアプラン作成から手を引いていくなら、その分を担う民間事業所が増えないと、区民が「ケアプランを作ってもらえない」という事態にもなりかねません。 ケアマネ事業所は全国の約3〜4割が赤字経営という調査もあり、新規参入のハードルは高い。区独自の開設支援、国に対する介護報酬の見直し要望、両方が必要です。

2. 保健師の確保が極めて困難 3職種のうち保健師は全国的に取り合いの状況。品川区は現在12.3人(準ずる者含む)で、最低14人必要。一気に増やすのは現実的でない以上、医療機関や訪問看護との連携でどう補うかが鍵になります。

3. 「品川区の強み」だった情報の一元管理をどう維持するか これまで区が高齢者情報を一元的に把握できていたのは、品川区方式の最大の利点でした。委託型に移行すると、各法人が独自のシステムを持つことになり、情報共有の仕組みを新たに構築する必要があります。

4. 区民への周知が圧倒的に不足する懸念吉田委員(生活者ネットワーク)も指摘していましたが、今の品川区民の多くは「在宅介護支援センター」に相談する仕組みに慣れています。それが看板を掛け替えただけのように見えてしまうと、せっかくの制度変更が活かされません。段階的な区民説明会の開催を、私からも引き続き求めていきます。

5. 厚労省の令和7年度改正要綱への対応 若年性認知症、2040年問題、重層的支援体制整備事業、単身高齢者の身元保証など、国が新たに包括に求めている役割がたくさんあります。委員会では「在り方検討の場でしっかり議論する」と答弁いただきましたので、これからの議論を注視していきます。

🙇 最後に

品川区はこの体制を30年以上続けてきました。それを変えるというのは、現場で働く職員さんにとっても、利用されてきたご家族にとっても、大きな転換です。「いい方向への変更」だと私も評価していますが、丁寧に、現場と区民の声を聴きながら進めていただきたい。

そして何より、「制度が変わったから不安」「どこに相談すればいいかわからない」という方が一人も出ないように、区議会の場からも声を上げ続けていきます。

ご質問・ご意見ありましたら、いつでもお寄せください。

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